オーガスタナショナル・ゴルフクラブ12番グリーン
オーガスタナショナル・ゴルフクラブの12番ホールのヤーデージは155
ヤード、パーは3である。グリーンは小川を前にして小さな丘を背にしており、後ろと側面を林に囲まれている。コース内の他のグリーンと比較すると、12番グリーンの日照は少ない。このため、11月、12月、1月の3ヶ月間は、夜間照明(電気照明)を行っている。人工照明によってグリーンにおける光合成を増大させ、12番グリーンの見栄えが他のグリーンと遜色のないようにすることが目的である。
さて、自分がオーガスタナショナル・ゴルフクラブのスーパーインテンデントであるとしよう。そして今は10月1日とする。12番グリーンの電気照明装置は落雷で破損した状態である。どういう方法で修理するにしても、12番のフェアウェイを横切る形での溝堀りが避けられない。そしてメンバーは絶対にだめだという。今年は照明装置を使うことができないのが現実である。
12番グリーンの光合成を増加させるために何をしたら良いだろうか?芝草の健康を増進させ、他のグリーンとそう大きく変わらない状態にするにはどうしたらいいだろうか?
マイカ博士の見解:
難しい課題である。12番グリーンは日照条件が非常に悪い。この課題を作っているときに自分では全く思いつかなかったが、一番良い対策は、場内からの発言通り夜間照明用の発電機を導入することである。12番グリーンはクラブハウスからも宿泊者用のキャビンからも遠いから騒音の問題もない。
が、照明以外に実施したい対策として以下を考えてみた:
1. 他の(日照に恵まれた)グリーンよりもチッソの施肥を減らす。これにより、12番の芝草の生長速度が鈍化し、刈り込みによる葉身の喪失が少なくなる。
2. 他のグリーンよりも刈高を高くする。
3. ローラ掛けを行う。ただし、ローラの動き始めと停止位置になるエッジ部分については磨り減りを起こさせないように細心の注意を払う。
4. 土壌をできるだけ乾燥状態に維持することにより土壌中の空気の量を増やす。このような日陰条件では土壌が湿ったままになり勝ちなので、これを防止し、土壌中の空気を多くすることにより根の健康な育成を図る。
5.
トーナメントまでに、このグリーンに問題があれば、着色や目砂を着色砂にすることも考える。これによりテレビ写りについては他のグリーンと同等にできるだろう。また、ストレスを掛けすぎずに他のグリーンとできるだけ同じになるように、スティンプメータによる測定、毎日の刈高、刈り込み回数、ローラ掛けと、速度その他の状態との関連を注意深くモニターする。
東京地区における7月の水使用
自分が東京地区のゴルフ場のグリーンキーパーであるとする。グリーンはペンクロスである。グリーンの面積は15,000 m2である。本日は6月20日である。この年の5月から6月初めまでは非常に乾燥した天気が続いた。本日は50 mm の降水があったが、天気予報によれば、この先も乾燥した天気が続くという。そして、支配人から、7月にどのくらい水を使うつもりか、という質問がきた。
7月の平均蒸発散量 (ET) は4.2 mm 程度である。
もし7月に一滴の雨も降らなかった場合、ターフに与えるべき散水量は全体でどのくらいになるか(まる一月分の要求量をmmで求めてください。)?
その要求量通りの水量をグリーンに散水すると、グリーンに1ヶ月に撒く水量は何リットルになるだろうか?
グリーンにドライスポットが発生する危険を最小限にするためには、どのような対策が考えられるだろうか?
芝草が必要とする水量を最小限に抑え、なおかつターフのコンディションをベストにするにはどのような対策が考えられるだろうか?
マイカ博士の見解
1. 7月の日時ETを4.2mmとすると芝草に必要な水量は
31日x 4.2 mm(1日必要量)=
130.2 mm
*ただしこれは単純計算である。実際には散水システムによる散水の「均一性(DU)」を考慮する必要がある。このゴルフ場の散水装置のDUを0.7と仮定すると、水が一番飛びにくい場所まで完全にぬらしてドライスポットの危険性をなくすためには1日あたり、4.2mm÷0.7=6mmの散水が必要となる。
2. グリーンの総面積15,000 m2 に130.2 mm の降水が必要なのだから:
15,000 m2 (面積)x .1302 m(降水量)=
1,953 m3 = 1,953,000 L
3. ドライスポットの発生を最大限に抑制する手段として:
- 浸透剤の散布
- 土壌中の水分含有率をドライスポットの発生危険水準よりも高い水準に維持
- 土壌への水の浸透と助けるためにエアレーション、スパイキング、スライシングを行う(これによってドライスポットが抑制されるのではなく、土壌水分をよいレベルに維持するための対策である)。
- ドライになってきた部分については手散水を行う。乾いてくる理由は散水システムからの水がその部分だけ十分でないということである。従ってスプリンクラーで水をまいてもこれらの部分の乾燥は改善されない。手撒きが必要なのだ。
4. さらに:
-チッソ量を最適化する。Nが多すぎると水の消費量が増える。Nが少ないと根の伸長が妨げられる。
- N:Kを1:1にする。これは、Kの欠乏を起こさせないため(Kは葉孔の開閉コントロールに重要)。
-芝草の生長抑制(その結果としての必要水分の抑制)をねらってプリモマックスを散布する。
-モアの刃先を十分に鋭利に研磨し、刈高を最適に設定する。切れの悪い刃は葉身を大きく傷つけ、傷口から大量の水分が失われる。刈高が低すぎると芝草のストレスが大きくなり、生存のためにより多くの水を要求するようになる。
ケーススタディ 3
夏期におけるベントグラスの根の生長
あなたは、中国の海南島で22コースを建設中のミッションヒルズ・グループの統括グリーンキーパーとして雇用された。グリーンの草種選定にあたり、あなたが行った提案は、11コースはハイブリッド・バミューダグラスとし、残り11コースについてはシーショア・パスパラムを採用するというものである。ところが、オーナーは2011年からアジアの主要なゴルフトーナメント会場となるコースについてはベントグラスにせよ、と言い張って譲らない。
あなたは海南島でベントグラスを管理することがどれほど困難かをよく知っている。10月から翌年の4月までは気温がベントグラスに適していて問題ないが、5月から9月は平均最高気温が30度を超えるのみならず、平均最低気温が24度を超えるのである。この5ヶ月間の時期の地温の平均は25度を超えるのである。
ベントグラスのグリーンの管理を成功させる(より具体的には、熱帯気候となる夏の時期に根を枯死させない)ためには、そして選手権クラスのトーナメント開催地としてふさわしいコンディションを実現するにはどのような管理を行うのがよいであろうか?
マイカ博士の見解:
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可能であれば、地中(根圏)に冷却装置を配備する。
?
土壌水分を注意深くのモニターし、できるだけ低い水分含有率で、しかしドライスポットを起こさないレベルで管理する。これは土壌中の空気の量を多くするための対策。
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高温期にはヴェンティングやスパイキングなどの土壌通気改善作業を行い、根圏への空気の到達を助ける。
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ファンを導入し高温期には24時間連続運転してグリーン表面の温度を下げるする。
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1年のうち7ヶ月は大丈夫なのだから、その時期にベストをつくして深い根を育て、土壌の気相を最大化しておく。最悪の5ヶ月が始まったら根の多少の枯死は想定内である。それに動じないだけの良い根を育てる。
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グリーンの補修用のナセリを準備しておく(通常のグリーンと同じ条件で管理するが踏みつけ(通行)については除外)。
? オーナーに対しては仕事に見合ったうんと高い給料を要求する。もちろん、一生懸命働くし、良いアシスタントやスタッフを選んで雇う。